江戸の虎が溺愛する者


「戊辰戦争はどっち勝ったんだ?」




すると、ハルは言いづらそうに視線を逸らした




「…保守派、つまり幕府側よ。私達の知ってる歴史では、攘夷派の勝利で倒幕し富国強兵を目指した」





俺は頷いて聞くことしかできなかった





「日本はアメリカの援助を受け、今は安泰。幕府側はその残った攘夷派を排除している」





「それって、まさか…」





「…新撰組はその残党狩りをする鬼でしかない」


…俺は何が正しいとか、どっちが正義だとか悪だとか、馬鹿だから決めれないけど




自分が信じたものを貫く覚悟を決めることは、できる





「…そうか」





俺は立ち上がり、戸を開け外を見た




江戸ってこんなに綺麗な場所だったんだな





タイムスリップして、良かったかもしれねえ




「裕斗…お願い、鬼にならないで」




「…っ!?」




後ろからハルに抱き締められ、身動きが取れなかった



…珍しいことがあるもんだな



いつも俺からだったよな。ハグとか、キスとか



まあ恋人同士じゃないけど




「歴史が変わっちまった今じゃ、何が起こるのか予想付かない」




あれ、まてよ




じゃあ攘夷派は今一体"何と戦っているんだ?"



なぜか不平等条約を結ぶことなく開国してし、アメリカにも侵されてないこの綺麗な江戸に




侍の国に一体何が不満なんだ




…………ハルはさっき、開国しきれていない。といった




それはつまり、外交があるのはアメリカ.清.オランダだけ




てことは…攘夷派が望んでいるのは完全な開国




世界各国との繋がりか!