翌日…
「あら、いらっしゃい沖田さん。新しい羽織が仕立てられたのよ〜」
「ねぇおばちゃん、要らない袴ありますか?男用の。あ、別に女の子用でも全っ然構いませんよ?」
「「まてまてまてまてー!!!」」
何女の子用のやつ買おうとしてんだ!?
俺と土方さんは先に着物屋に到着した沖田さんを追いかけに、全速力で江戸の町を駆けた
…バスケ部の俺でさえゼーゼーと肩で息している
「いらっしゃい〜」と店主の声を無視し、沖田さんに近付いた
くっそ、この腹黒イケメンは…
「いやぁ虎吉、あんたなら何でも着こなせますよ。うん」
そんな事したら俺、男として人生終わるよ!?挫折しちゃうよ!?
「だからって女物は着ませんよ!土方さん何か言ってくださ…」
後ろを振り返ると、そこにはグッタリとした土方さんの哀れな姿があった
土方さーーーーあああああんっ!!!???
「ゼェ…疲れた…」
そんなんでそこまでなるか!?
「困った人ですねぇ。しゃーね、僕が楽にさせてあげますよ」
そう言いブラック・沖田は自分の刀に手をかけた
ええーっ!?
俺は慌てて背中からブラック・沖田を抱き締め止めた
「待て待て待て待て落ち着け、誰が引導を渡せって言いました!?」
「いや、言ってない。楽にさせるだけですよ」
ヒョイヒョイッと刀を振り回す沖田さんは危なくて仕方なかった
「変わんねーよ!?その右手を刀から離してくださいーっ」
殺す気満々じゃねーかこの腹黒……
すると、店の奥から店主が現れ
「沖田さーん、要らない袴が1着あったけど試しに着てみる?」
店主の手には基調が紺色で、橙(だいだい)色のラインが少し入っており全体的に大人しめな袴だった
「おお、柄がいいじゃないか」
いつの間にか復活していた土方さんは先程の瀕死の状態が嘘のようだった