男と俺は声がした方へ目線を移す
そこには薄い黄緑色の着物にうすい茶色の髪の毛…
「お、沖田!?なぜてめーがここに…」
男は驚き、沖田さんへ刃を向ける
「そこに倒れてるバカを探しにきたんですよ?しかもまあ…よくあんたも僕達にバレないよう逃げましたね?盗賊さん?」
「沖田、覚悟ーーーーー!!!!!!」
沖田、さん…!!!!
物凄い形相で斬りかかる男を沖田さんはヒョイっとかわし、つま先で男の足を引っ掛ける
「おっ、おお!?」
男はみっともない声を出しながらズサーッと漫画みたいに地面へ転んだ
そんな男を無視して、沖田さんは俺の所に歩み寄る
「沖田さん…逃げてください…」
「やれやれ、逃げといておきながらボロボロにやられて…。しまいには自分より人の事を気にしますか?」
感心しましたよ、と言い俺の腕を引っ張り無理矢理立ち上がされた
「はい、どうぞ。受け取ってください」
…………手渡されたのは、昼間俺が盗賊から奪った刀
「え?」
一体何を…?
「刀できたら刀で返すんですよ?」
「いやいやいや、無理ですってだから」
助けに来てくれたと思ったら何なんだこの人!?
まあ助かったけれども!?まだそこに盗賊さんいるけれども!?
「まだそんな事を言うのかよ」
!?!?!?
背筋が凍った
いつも敬語だった沖田さんが乱暴な言葉を使った
それはもう威力というより圧力というか…
俺の知ってる沖田さんとは、違う沖田さんがそこにいた
「甘ったれんなよ。斬らないと死ぬんだよ…僕達は」
ドクンッと心臓の嫌な音が聞こえる

