「はぁ…はぁ…だいぶ走ったけど、ここは…?」
辺りはすっかり真っ暗で、夜の不気味さが浮かぶ
…改めてタイムスリップしてきたんだな、と痛感した
「…静かでいいな、ここの時代は」
市中まで逃げてきたのはいいけど、追いかけてくる気配は全くなかった
この先どうしようか….
すると背後からにゅっと気配を感じた
いや、気配ではなく…悪寒だ
「お前は昼間のやつだな?」
背筋が凍りつき、後ろを振り向くと顔に傷が付いた男が立っていた
手には、鞘の付いていない刀
「んぐっ!?」
腹を思いっきり蹴られ、遠くへ吹き飛ばされる
地面に叩きつけられ、身体に痛みが走る
「な、なんなんだ…うっ…」
かなりの急所だったのか、意識が朦朧とした
男が歩いて近寄ってくる
「いや〜昼間は世話になったぜ兄ちゃん?おかげでこっちは散々だったぜ!?」
くそ、こいつ昼間の盗賊か!!!!
でもまて、みんな捕まったはずじゃ…
刀を振り下ろしてきたのを間一髪避け、何とか立ち上がる
足取りがフラフラでもはや走って逃げるのも困難だった
「おめーがオラを川に投げ飛ばしてくれたおかげで幕府の犬に見つからなくて済んだぜ…自分がやった行いに後悔しな!」
間合いに入ってくる男から何とか距離を保ち続け、剣筋をさける
こんな恐怖体験を味わうとは…
くそ!!!何か策が!!!
「ちょろちょろ避けるんじゃねえ!!!」
男がまた蹴りを繰り出し、俺は直撃を食らう
「ぐっ…!」
吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がる
人が通る気配のないここの市中は静かすぎた
ああ…おれ、もう…
「お、ここにいたんですかい?探しましたよー」

