江戸の虎が溺愛する者








それより、平岡と高杉さんの関係って…?











平岡はこれ以上何も言わずに、その場から去って行った










高杉さんは鞘に刀を納め、俺の方は振り向いた









危険な香りがプンプンする男の人だが、キニシナイキニシナイ










「高杉さん、その、助けてくれてありがとうございます」









一応助けられたんだよな、俺?









お礼の言葉を言うと、高杉さんはフッと笑い










「虎吉、お前は俺の名前を聞いて気付かねーのか?」










獲物を狩るような鋭い瞳を向けられ、背筋が凍った









た、助けられたのはいいんだけど怖すぎ!










高杉…晋作…










んーーーーーー、なんだっけか?










聞いたことあるようなないような…











頭を傾げていると、いきなり高杉さんが笑い始める










「わからないのか?新撰組とは思えねえなっ」











俺は思わずムッとする










「いちいち人の名前覚えてられませんよ」










そもそも、新撰組内で高杉晋作だなんて聞かないよ











でも…











平岡は間違いなく、新撰組である俺の命を狙ってきた









攘夷志士と見て間違いはない、だが










平岡は高杉さんのことを"晋作さん"ってさん付けしていた











いや、まさか









高杉さんが攘夷志士だとしたら、平岡と一緒に斬りかかってくるはずだ












「高杉さん、一体…」











何者ですか?そう聞こうとしたが、なぜか口に出せなかった











「せっかくだ、俺に付き合え虎吉」









そう言いスタスタと市中へ歩き出す









「あっちょ!」









この時代の人ってみんな自己中だよな!?











刀を納め、慌てて高杉さんを追った