江戸の虎が溺愛する者





「いざ…!」







平岡は太刀を構えた










威圧感半端ない…










少し挫けそうになるも、負けるわけにはいかないので柄を強く握りしめ刀を構える












相手との距離は、たったの10mあるかないか











俺は構えを変え、刀の背の方を片方の手の平にかざす











居合斬りで…行くしかないな












「…いくぞ!」










地面を強く蹴り、平岡に斬りかかろうと走る










平岡も俺にめがけて走る









「うおおおおおお!!!!」










刀を大きく横に振ろうとしたその瞬間、












視界の端に深緑の着物が着た男が見えたと思いきや、気がつくと俺と平岡の間に入っていた










「やめろ、純一郎」










「…!晋作さんっ」









た、高杉さん!?









威力ありそうな太刀を軽々しく刀で受け止めるなんて…












この人、沖田さんより強い










額から一筋の汗が流れる











平岡は慌てて後ろへ下がる








「晋作さん、俺は…」











「帰れ純一郎、てめえのせいで俺の楽しみを消すつもりか」











「………っ」












顔は見えないが、平岡が恐縮するほどの威迫が高杉さんの口調から伺える