江戸の虎が溺愛する者





ガタンッガラガラガラッ









「………………。」













物凄い物音を立てながら、ストーカー男は曲がり角へ隠れた











いや…待てよ…












「隠れきれたつもりなのあんた!?」











敵かもしれないストーカー男に叫ぶ











めちゃくちゃ物音出しましたよね!?












「き、気のせいだ…俺は元からここで受け身の練習を…」












するとストーカー男は何やら運動をし始めた











…物陰でやってて見えないけどな











一体何の運動してるのやら











「って、騙されると思うか!?受け身って何だよ家でやれよ!!!!しかも俺が通った時お前その場にいなかったろ!」











「むむっ!よく俺の存在に気がついたな…」












嫌でもわかるわあああああああ!











「何してんすか……」










「バレたからには仕方ないな」











ストーカー男は角から出てきた












その姿は威圧そのもの











1秒前までアホをやっていたやつとは思えなかった













背丈が高く、屈強な体に漆黒の着物に波紋が広がるような模様がつけられた柄は、妙な違和感を感じる












「俺の名は平岡 純一郎…。江戸の虎、貴様の命を俺に寄越せ」












ストーカー男…平岡は腰にささっている太刀を鞘から引き抜く












その長さは俺が持っている刀より刀身が長く、こんな所で一振りでも薙ぎ払われたら間違いなく死ぬ











交戦するにはあまりにも場所が狭すぎる!












「…刀身が長すぎじゃないですか、お兄さんや」











刀を抜き、刃の先を平岡の額に向ける













勝算が…あるか










ゴクンッと唾を飲む











手合わせで沖田さんとやりあう時の感覚だ











だが、今の相手は図体と武器がデカイだけだ












沖田さんみたいなクイッキーな動きされなければ…!