江戸の虎が溺愛する者





「お、江戸の虎じゃないか」








俺に気付いた店長らしきおじいさんが近寄ってくる










「こんにちはー」










会釈して再び髪飾りの方へ目線を移す











…この水色で花の形のやつ雪に似合うんじゃないか?









肌白いし、これならあの黄色の着物にも似合う











あっでも思い切って赤色でもいいよな











店の前にある髪飾りを雪が着けたら…という想像に膨らませていた













………………………………………って、












何考えてんの俺!?!?!?











何か、雪のために買おうとしてなかった!?











しかも想像してたとか…キモい、キモいぞ俺!










昨日のことあって…でも、あれ…










雪は俺のことを男として好き…なんだよな?










じゃあ、俺は?










俺は、雪が本当に好きなのか?










口づけをしといて、今更悩む











結局、抑えきれない感情をぶつけてしまっただけじゃないか











それなのに、今どうして髪飾りに目移りする?











お詫びの気持ちとしてなのか、それとも純粋にあの子に似合うんじゃないかという気持ちなのか










わからない