「(厄介なことになっちまった…)」
心の中で舌打ちした俺はずっと黙っているわけにもいかず、答える
「…無理です。確かに俺は刀とかそんな物騒な物と縁のない時代で生きてきました。この時代で危険は百も承知ですしかし、どんな悪人でも俺には命を奪うなんてできません…!」
「「…………。」」
近藤さんと土方さんは黙ったまま俺を直視していた
その表情から何を思っているのか、わからない
沖田さんは首を傾げた
「あなたが刀を持たないと、斬られますよ?」
殺されるのは、怖いさ…誰だってそうだ
寝る場所を用意してやるとわざわざ案を出してくれたのは嬉しい…だけど、危険をおかさせるやつがいるか?
「わざわざ優しい案を提案してくれてありがとございます…だけど俺は、人を斬るなんてできない!」
俺は立ち上がり、襖へと駆け出し外へと走り出た
「あ、おい!!!」
後ろから土方さんの声が聞こえた
はやくはやくはやくはやくはやくはやく…!!!!
逃げなければ!!!!!
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……………
「あーあ、出て行っちゃいましたよ…どーします土方さんー?」
「どーするって…ほっとけばいいだろ。幕府に捕まって終わりさ」
土方はお茶を飲み、一息をつく
「んー、僕からしたら素質あると思うんですよねあの人」
土方が驚いた顔で沖田を見る
「…お前が人を褒めるなんて珍しいな。頭打ったか?」
そんなやりとりの中、近藤が口を開く
「探してこい、あいつを。戦力的には必要だ…俺達には時間がない」
すると土方は溜息をつき、立ち上がって襖の方へと歩く
「俺はそんな面倒なのやらないからな?あんな自分に甘ったるいやつはすぐ死ぬ」
「とか言いながら土方さん、あんた思いっきり探す気満々じゃないですかい」
土方の手には、裕斗が盗賊から奪った刀があった
「ちっ違…!これはだな、そのだな…」
この人は嘘を付くのは下手くそだ
「んじゃあ近藤さん、僕と土方さんは見廻りついでに探してきますね」
「お、おい!!!誰が探しに行くって言った!?」
「え?土方さん」
ギャンギャン騒ぎは遠ざかっていき、平穏が戻ってきた

