ポタ…………ポタ………………
雨、か
雨は徐々に俺と雪を濡らした
「…わかりました」
すると、グイッと顔を寄せられ身体が前屈みになる
「殴る代わりにこうします」
「えっ、ちょっ…!?」
まだ殴られる覚悟が____________!
俺はぎゅっと目を瞑る
大丈夫だ!痛みなんてたった1秒!一瞬だ一瞬!
そう自分に言い聞かせていたその時
痛みではなく、ふわりと優しい匂いがやってきた
目を開けると、僅かに濡れた雪が俺を抱きしめていた
小さくて細い腕が俺の首の後ろに回る
「助けてくれて…本当にありがとうございます」
今、"ありがとうございます"って…?
雪はすっと離れ俺の両頬に指を置き、顔を近づける
目から何か熱っぽいものを感じた
「…何で」
俺、酷いことをしたんだぞ?
それなのに…
「何で、お前もなんだよ…!」
「虎吉様…?」
ハルも雪も、何で俺に優しくするんだ?
酷いことをされていてなぜ抵抗しない?
顔をしかめる