江戸の虎が溺愛する者






「おい」











俺は雪の手を掴んでいる男の手首を掴む










「!?」










「虎吉様っ!」











雪の嬉しそうな顔を見て、顔が緩みそうになったがグッと抑えた












「えっ江戸の虎がなぜここに…!?」












男の顔には驚き一色に染まっていた











「そりゃ女が困っていたからな…守るのが俺の役目なんでね」












男の手首に関節をきめる










「んぐっ」













情けない声と一緒に容易く手が離れる














その隙に男から雪をかばうように前へ出る













「虎吉様…本当に助けに来てくれたんですね」











雪の手が俺の背中にすがる












顔は見えないが、震えているから怯えているに違いない













「バーカ…約束、しただろ」











男はみるみる顔を赤くし、プルプルと震える












「ぼ、僕の雪ちゃんに触れるな!」












はあ?











どうやらこの男は本当に頭がどっか行ってるのかもしれない











「誰のでもねーよ…ましてやお前のでもな」












キッと睨みつける












さすがに土方さんみたいには迫力のある睨みはできない














そもそも俺の前髪長いからな…