江戸の虎が溺愛する者







バカ2人を置いてきた俺は廊下を当てなく歩いていた










「どうしようかな…」











一層のこと寝てしまおうか?いや、きっと寝れない…












曇天は暗さを増して、雨が降るのがそう遠くないことがわかる













湿気やばそうだなーって、そうじゃなくて













食堂は荒れてるから行きたくないし、他の隊士達はきっとどこかへ出かけたか自室で寝ているか…












んーっと悩んでいたら、ふとある人物を思い出す











昨日俺を励ましてくれた女の子…











雪の笑顔が脳内に張り付いて中々消えてくれなかった













「会いたい」












そう思い、俺は踵を返して門の方へ向かった












_______そろそろストーカーをとっちめないとな












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「うーーー傘持ってくればよかったか…?」














雨特有のジメジメ感が足の裏から伝わり、そろそろ降る気配を感じた













まあ、あと少しで着くから大丈夫だよな














若干急ぎ足で雪が働いている食事処へ向かった









「…ん?」










角を曲がろうとしたその瞬間、食事処の玄関前に人がいるのを目撃した












俺は反射的に身体が動き、身を隠した












おかしい…なぜ入ろうとしない?











男はずっと佇んでいる














だがその様子では店へ入ろうか入らないか迷っているものではなかった














「まさか…!」











男は手に何かを持っていた













目を凝らしてみると、それは…













「…懐中時計?今日の公務で見たものと一緒か?」













てことは所有者も同一人物なはず












俺は息を殺し、男の行動を見守った












なにやら懐中時計の時間を気にしているようだ














食事処はもうすぐしまうはず