江戸の虎が溺愛する者






食事処を後にし、屯所への帰り道を歩いていた







満月の小さな光と町を明るくする灯火が、帰り道での孤独感をかき消すほど幻想的だった








「……どんな顔で、土方さんに会えば良いんだ?」








多分、今日からもしくはこの前から恋人関係になったはず








諦めないと、いけない







俺だって土方さんにお世話になってるし、ハルが選んだ男なんだし







…認めなくちゃいけないんだよ、俺








何度も何度も自己暗示をする







それでも、今まで想い続けていた期間があまりにも長すぎた








悲しい








「幼馴染みの関係って、残酷すぎだろ」







思わず自嘲してしまう






叶わないってこんなにも辛いことなんだ






タイムスリップしなければ、俺ら結ばれてたかな?







徐々に変える足取りが遅くなる








それは、無いだろう







もしタイムスリップせず土方さんと出会うこともなかったとしても、俺の恋は叶わなかった気がする







俺は、ハルを女の子として好きだった







でもハルにとって俺はただの幼馴染みでしかなかった







「かああああ…」







これはタイムスリップしなかったとしても同じ








俺以外の男と結ばれていたであろう