八月のアークトゥルス。










あったかかったはずの僕の世界は

本当は
狭くて小さくて
存在すらしていないようなものだったんだと、今更ながら僕は知った。


下野世界、15歳。

いつの間にか
僕はなんの感情だって抱かなくなっていた。




木魚を叩く音。
黒い服を着た見たことのない
おじさんやおばさん。
僕は一番前の椅子に座って
大好きだった母さんの写真を眺める。






「あの子、息子さんなのに、、泣いてもいないわよ。」


「それにしても、可哀想ねぇ。あの子、誰が引きとるのかしら」


そんな声がひそかに聞こえる。




そんなことなんて
気にせずに

お香をつまんで

僕は葬儀に来た親戚や友達に一礼する。


母は
こんなにも人に愛されていたんだと
僕は知る。



母はいつも笑いながら泣いていた。
悲しいことを僕にさえ言わずに
この世を去った。


だから僕は
何故母が突然命を落とすことになったのか分からない。


ただ1つ、解ること