あったかかったはずの僕の世界は
本当は
狭くて小さくて
存在すらしていないようなものだったんだと、今更ながら僕は知った。
下野世界、15歳。
いつの間にか
僕はなんの感情だって抱かなくなっていた。
木魚を叩く音。
黒い服を着た見たことのない
おじさんやおばさん。
僕は一番前の椅子に座って
大好きだった母さんの写真を眺める。
「あの子、息子さんなのに、、泣いてもいないわよ。」
「それにしても、可哀想ねぇ。あの子、誰が引きとるのかしら」
そんな声がひそかに聞こえる。
そんなことなんて
気にせずに
お香をつまんで
僕は葬儀に来た親戚や友達に一礼する。
母は
こんなにも人に愛されていたんだと
僕は知る。
母はいつも笑いながら泣いていた。
悲しいことを僕にさえ言わずに
この世を去った。
だから僕は
何故母が突然命を落とすことになったのか分からない。
ただ1つ、解ること
