1週間ほど
休んでも僕の気持ちが落ち着くことはなく、ひたすら母がいなくなっただけの部屋で、僕はすすり泣いた。


葬儀のとき、
大家さんが気を遣って
「空いているアパートがあるから当分はそこで住むといい」
と言ってくれた。

だから当分はそこに住まわせてもらうことにした。

築30年の木築アパート。
階段を上がるたびギシギシと音がする。

ここに住んでいる人は
旅行に出かけていていないらしい。




だから気にせず僕は
泣き続けた。

母の悲報を知ってこの家に訪れる人達はたくさんいた。

僕は一言も話さずに
招き入れて、お香をたかせてあげる



そして来客は皆、
目を真っ赤にして帰っていく



「これ、つまらないものだけど」


そう言って貰ったお菓子は
皆つまらないものなんかではなく

高級感あふれるものばかりだった。