それから、私は毎日彼に会いに河川敷に行くようになっていた。
彼の歌っている姿を、いつも見ていた。


「今日は早かったんだね」

「うん、いい曲浮かんだからさ。早く弾いてみたくてダッシュで来た」


あの出逢いから一ヶ月経った今。
恭介についてたくさんのことを知れた。


隣町の中学校に通っていること。
一人っ子なこと。
中学校に軽音部がない上に親がギターに反対しているため家から離れたこの河川敷で毎日練習していること。


「ほんとはエレキも弾きたいんだけどさ、うちじゃアンプ繋げらんねえしスタジオとかギター教室通う金なんてないし」


私にはよくわからないけど、なんだか大変そうだ。

いつも持っているアコースティックギターを抱えながら、毎日自分のことを、たくさん話してくれた。
そして、私の話もちゃんと聞いてくれた。