「あれ、柳さん、売り場から移動していくよ?」 「ほんとだ。どこに行くんだろう」 柳さんはおみくじ売り場に到着した後、おみくじを引かずに売り場から離れていった。私たちも売り場ではなく柳さんの方へと進む。 ほどなくして柳さんは女性の二人組に声をかけ、財布のようなものを手渡していた。 「ありがとうございます! おみくじ買った時に落としていたみたいです」 「いえいえ、とんでもありません。では、僕はこれで」 柳さんと女性たちの会話が終わったのを見計らって、私は柳さんに話しかけた。