――先に中に入ってしまった柳さんを追いかけて、私は早歩きで洞窟の中を歩いていく。つららのように生える鍾乳石が照明によってライトアップされていて、それが幻想的な空間を作り出している。
自然の光が全く入ってこないこの洞窟の中で、聞こえるのは足音と、水滴が水たまりに落ちる音だけ。私たち以外にも観光客はいるけど、誰も会話をしていなかった。
それはきっと、言葉を口にしてしまうと、この神秘的な世界を壊してしまうからだと思う。
柳さんと駆もこの壮大な自然に見入っていた。そして、淡々と鍾乳洞を進んでいくと、出口の先にはもう一つのおすすめスポットが待っていた。
「うわぁ、すごい眺めだ! 海が綺麗ですね」
鍾乳洞を出た先は高台になっていて、そこから島の景色を一望できるようになっていた。青々とした山の先に広がる壮大な海。高台から見下ろす海は深い青色で、宝石で例えるならサファイアだろう。



