夕食といい、チケットといい、こんなにおごってもらってよいのだろうか。大学生の人と遊ぶなんて初めてだから勝手が分からない。
「さあ、冒険の始まりですね。なんだかわくわくします」
両手を空に向かって上げ、気持ちよさそうに体を伸ばしている。ちょっとした鍾乳洞に入るだけなのに、すごく楽しみにしている。本当にこの人は不思議な魅力を持っている人だ。
大人っぽいところもあって、でも子供みたいなときもあって。空気を乱すことなく、自分のペースで穏やかに過ごす。少しずつだけど、この人のことが分かってきたみたいだ。
「おい、何ぼーっとしてんの。早く行くぞ」
駆にぽんっと背中を叩かれて我に返る。
「何でもないよ」
「もしかして、鍾乳洞が怖いのか? お前、子供の時、怖いって泣いていたもんな」
「ばか、そんなの昔の話じゃん! それに、私よりほたるのほうが怖がっていた……」
自分の口から出た言葉に、自分で驚いて口をふさぐ。



