――旅館から自転車で二十分ほど移動し、目的地に近づいた所で自転車の速度を緩めた。
「最初の目的地はここになります」
「ここは……洞窟?」
「正確には鍾乳洞ッス! だいたい五百メートルほどの規模になります!」
駆の説明はやたら気合が入っていた。こんな幼馴染の様子は初めてで、見ているだけで笑ってしまいそう。
「鍾乳洞かぁ。涼しそうで避暑にはぴったりですね」
「そうですね。ちょっとじめっとしますが、とっても涼しいですよ。さらに、鍾乳洞を出た後の景色もきれいなのでおすすめなんです」
「なるほど。この場所は二重に楽しめるところなのですね。じゃあさっそくレッツゴーです」
鍾乳洞の入り口でチケットを買う。柳さんは「僕が出します」と言って、三人分まとめて払ってしまった。



