クリア・スカイ


「私が先頭を走るんで、ついてきてくださいね」

「了解。……柳さん、前どうぞッス」

「ありがとう。空野さんに遅れないように頑張りますね」


 少しだけスピードを出して、短い自転車の列の先頭に来た。後ろには柳さん、最後尾には駆がいる。柳さんの声は少し不安げで、年上なのに可愛らしく思えた。


 車社会なのにほとんど車が走っていない。それだけこの島には人が少ない証拠だ。まぁ、今日みたいに自転車で出かけるには好都合だけど。田んぼや畑がどこまでも広がって、ビックリするくらいに見晴らしが良い。


 上を見上げれば吸い込まれるような青空が広がり、左右を見渡せば緑豊かな台地が広がっている。民家もない、車も走っていない、ここには私だけしかいないんじゃないかって思ってしまう。