そう言い終わると私はすぐに柳さんの部屋を出た。そのまますぐに事務室に行き、若女将に自転車レンタルの許可をもらった。
「もうお出かけするのかしら? 私もそこまでお見送りしますね」
「ありがとうございます」
私は若女将と一緒に入口へと向かった。入口には裏口に停めてあった私と駆の自転車、旅館の自転車の三台があった。
「私の自転車、誰が持ってきてくれたの?」
「ああ、それは僕ですね」
にっこりと笑う柳さん。その一方で私と若女将の顔色は真っ青になる。
「お、お客様にそんなことをさせてしまって……申し訳ございません」
「ちょっと、駆が全部持ってきてよね」
柳さんに向かって深々と頭を下げる若女将と、幼馴染に注意する私。駆はどうして自分が怒られないといけないの? という顔をしている。



