「それでは、僕の方はもう準備万端なのですが、さっそく出かけますか?」
「はい。あっ、柳さんはどういうところに行きたいですか? とはいっても、ご希望に添えないかもしれませんが」
「うーん。自然がいっぱいなところと、古い建物、たとえば神社なんかに興味がありますね」
柳さんの返事を聞いて少しほっとした。自然と古い建物だったらこの島にもあるもの。もしかして、あらかじめこの返事を用意していたりして。
「それだったら、ここから自転車ですぐに行けますよ。自転車は旅館で借りられますが、どうしますか?」
「しばらく乗っていないから不安だけど、頑張れば大丈夫だと思います」
「分かりました! じゃあ、私から若女将にお願いしておくので、柳さんと駆は先に入口で待っていてください」



