クリア・スカイ


 目の前の扉がゆっくりと開く。扉の先はとても明るくて、でも眩しくはない。どちらかといえば心がぽかぽかするような、優しい光が私を包みこむ。


「お待ちしていました。さあ、入ってきてくださいね」

「どうして、ここに……」

「それはこのお刺身を一緒に食べながら話しましょうか」


 彼は私の代わりにお刺身を乗せたお盆を持って、部屋の中に入ってしまった。
 今日もやっぱり白いシャツ。襟元のボタンを少しあけて、そこからみえる鎖骨はやっぱり色っぽい。
 

 くしゃっとした黒髪、細いフレームのメガネ、優しく笑う瞳、黒く焼けた肌。

 一週間前と何も変わらないその姿になぜかほっとして、涙がこみ上げる。