クリア・スカイ


 生半可な気持ちで来るんじゃなかった、と後悔しながら、宮村様の泊まっている部屋にたどり着く。そこは、奇しくも柳さんが泊まっていた部屋と同じだった。

 緊張とせつなさが入り混じる気持ちを抑えて、扉の向こうにいるお客様に声をかけた。


「宮村様、夕食をお持ちいたしました」

「はい、ちょっと待ってください。今取りに行きますから」

「……え?」


 私は混乱した。まさかお客様が料理を取りにくるなんて言うと思わなかったから。どう反応したらいいかわからなくて、凍ったように固まる。

 混乱したのはそれだけじゃない。部屋の外から聞こえてきた声は優しくて、懐かしくて、あの人を思い出させる。