私たちはもう言葉すら見つからなくて、ずっと下をうつむいて泣いていた。静かな部屋には嗚咽の声だけが響いている。
柳さんは、ずっと黙って私たちを見守っていた。
その状態がしばらく続いた後、ドアをノックする音が聞こえた。どうやら、仲居さんが夕食を運んできたようだ。
「柳さま、これから夕食の準備を始めてもよろしいでしょうか」
「はい、大丈夫ですよ」
柳さんは入口に向かってそう言った後、私たちにボックスティッシュを差し出した。
「さあ、いったん涙を拭きましょう」
私たちは無言でティッシュを受け取り、涙と鼻水を拭いた。
ああ、また柳さんにかっこ悪いところを見せてしまった。もうこれ以上恥ずかしいものはない気がする。



