記憶の中で生きる君へ、この空に誓う



「っ…良かった、今なら触れられる」


「え……静月……?」


肩を震わせて、泣いている蒼大先輩の手をギュッと握った。

温かかった蒼大先輩の手は、今は氷のように冷たい。



「辛いなら、傍にいます」


「っ……あぁ、傍にいてくれ、ありがとな、静月……っ」


蒼大先輩は、まるですがるように私の手を握り返す。

私は、言葉を続けた。


「蒼大先輩、源先輩が……蒼大、秋乃、ごめんなって、謝っていました」


「源……っ、お前、何を考えてたんだよ……っ」


「その時の源先輩は、なんというか…蒼大先輩を大切に思う温かい感情と、悲しいとか、後悔に近いような感情が、複雑に混じっていたように感じました……」


「………源っ……」


「蒼大先輩、秋乃って人に心当たりはありますか?」


たぶん、蒼大先輩への想いと同じくらいに大切にしていた人だと思うんだけど……。