『蒼大、秋乃(あきの)……ごめんな……』
ーズキンッ
痛い……なんて、悲しい気持ちなんだろう。
『信頼』『友愛』という温かい感情と、『悲しい』『辛い』『後悔』という複雑な気持ち。
そこで、一気にセピア色の世界が彩りを取り戻し、風の音や生徒達の声が聞こえてくる。
そこで、帰って来たのだと分かった。
なのに、心は源先輩の記憶に引きずられていた。
「なんて、悲しい気持ちなんだろう……っ」
ポロポロと流れる涙は、止まる事を忘れたみたいに、流れ続ける。
あの幸せな記憶を見たから、なおさらだ……。
「静月、大丈夫か?」
蒼大先輩は、私の肩をさすってくれた。
「っ………蒼大先輩、すみませんっ……」
でも、源先輩の気持ちがダイレクトに伝わりすぎて、苦しい。
銀のイヤーカフをギュッと胸に抱き締めた。


