「私の力なら、助けてあげられると思った。だけど……結局、傷つけたんだ……」
「静月……」
「助けたいと思えば思うほど、傷つける……こんな力、気持ち悪い、無くなればいいんだよ」
「……静月は、怖いんだね。それでも、人に歩み寄らなければ、分かり合う事はできないよ」
「そんなの……分かってる。だけど、私には無理みたい」
むやみに力を使わないで、力を隠し、出来るだけ人に関わらない。
それは、生まれて17年、普通に生きるための、私がたどり着いた、答えだった。
「静月………」
「おばあちゃん……朝ごはんを食べよう、覚めちゃう」
「………あぁ、そうだね」
おばあちゃんは、それ以上何も言わなかった。
追求されなかった事にホッとしながら、私は何事も無かったかのように、居間へと戻る。
その背中を、おばあちゃんの悲しげな瞳が、見つめていた事にも気づかずに。


