「傷つけて……ごめんなさい、さよならっ」


「あっ、おいっ!!」


私は、勢いよく踵を返して、全力で屋上を飛び出した。


「待って、待ってくれ!!」


背中ごしに、最上先輩の声が聞こえた。

だけどすぐにバタンッと屋上の扉が閉まり、その声を遮る。


こんな私に、誰かを助けるなんて無理だったんだ……。

今まで通り、静かに生活していれば良かったんだ。


なのに、源先輩に会ってからの私は、少しおかしい。


何を考えて、どうして自殺したのか……どうして、私だったのか。

泣いていた最上先輩の役に立ちたい、そんな風に自分から何かをしようと思ったのは、初めてだった。


「今まで通りの私に戻らなきゃ……」


この変化は、いけない。


変わってしまったら、私は二度と……孤独に戻れなくなる気がしたから。


そう自分に言い聞かせて、私は教室へと向かうのだった。