「またね、みんな!」
私は笑顔で、家族に手を振った。
そして、家を出ると、夕暮れが私たちを照らす。
扉が後ろでガチャッと締まった瞬間、少し先にいる蒼大先輩が両手を広げた。
「うぅっ………」
涙で歪んだ視界のまま、私は蒼大先輩の胸に抱きついた。
すると、広げていた腕が、私を強く抱き締めてくれる。
「頑張ったな、静月。本当、良かった……っ」
「ありがとうございますっ、本当にっ」
蒼大先輩の声も震えていて、私の為に心動かしてくれた事が嬉しいと思った。
そして、蒼大先輩の温もりに身を任せていると、ふと視線を感じて、私は顔を上げる。
すると、私と蒼大先輩の目の前に、白く輝く光が見えた。
「あれは………」
「静月、どうし………っ!?」
蒼大先輩にも見えているのか、私と蒼大先輩は驚きに目を見張る。
そう、白く輝く光は、人形を象って、まるで私たちを見つめているようにじっと動かない。


