「静月……」
「お母さん………」
私とお母さんは、静かに見つめ合う。
蒼大が、こうして背中を押してくれてるんだ、私も、ちゃんと言葉で伝えなきゃ。
「私……ずっと、怖かった。私の一言が、家族をバラバラにしてしまった事……」
今でもあの時の事を思い出して、胸が痛む。
私は胸を服の上から押さえて、痛みを堪えながら、10年ぶりに家族へと向き合った。
「でも、やっぱり私にはおばあちゃんと、お母さんやお父さん、美月しか、家族はいないの!!」
「静月お姉ちゃん……」
美月も、目に涙を溜めて、必死に堪えて私の話を聞いてくれている。
「私は……みんなが大好きだよ!!」
失って、伝えられなくなったら、遅いから。
舵先輩、秋乃先輩、源先輩のお母さん、源先輩、蒼大先輩……皆が教えてくれた。
限りある時間、永遠なんてないから、出来る事を精一杯、後悔の無いように生きなきゃって。


