「どうして、それを……」


「ごめんなさい、最上先輩を傷つけたいわけじゃないんです。ただ……」


こんな事を言ったら、言い訳になってしまうだろうか。

だけど、これだけは伝えたかった。


「ただ、もうあんな風に……一人で泣かないで欲しくて…っ」


「!!」



最上先輩が、息をのんだのが分かった。


ーズリッ


上履きが屋上のコンクリートを擦る音が鳴った。


私は、顔を上げられないまま、ゆっくりと最上先輩から後ずさる。


こんな力があっても、役に立たない。

少しでも役に立てたらなんて、馬鹿みたいな事考えた。