「忘れたのか、俺が傍にいるって」
「蒼大先輩……はい、ちゃんと覚えてます」
そう、この言葉だけが、今の私を動かしている。
今にも不安で倒れそうだけど、前に進むための勇気をくれる。
「静月の言葉は、今までだって俺や、家事、秋乃に源のお袋さんの心を救った。その思いは、ちゃんと届いただろ?」
「あ………」
そうだ、今までだって届いた。
だから、想いを込めて伝えれば、きっと届く。
それを、今の今まで忘れてたなんて……。
自然と、笑みを浮かべると、蒼大先輩は二ッと笑った。
「元気出たみたいだな!」
「その先輩……はい、ありがとうございます!」
笑って見せると、蒼大先輩は強く頷いてくれる。
すぐに弱気になる私だけど、蒼大先輩が傍にいてくれる、だから頑張ろう。
そう、気持ちを新たに、前へと足を踏み出した。


