どうしようもなくて、途方にくれていると、
『傍にいられなくてごめん』
そう、頭の中で声が聞こえた。
私は驚いて、辺りを見渡すが、ここには私と蒼大先輩と源先輩のお母さんの姿しか無い。
『お袋は家族想いだから、きっと泣くんだろう』
これは……私は、ポケットが温かいのに気づいて、漁ってみると、出てきたのは銀のイヤーカフだった。
あれ……私、制服のポケットに入れてたはずなのに、無意識に持ち歩いてた?
不思議に思いながらも銀のイヤーカフを見つめると、淡く光っているように見える。
もしかしたら、源先輩が何かを伝えようとしている?
何かの記憶なのかな……でも、こんな感じ方は初めてだ。
だけど、伝えなくちゃいけない気がする。
私は、聞こえた言葉を復唱する。


