「何を間違えたのか、何が正解だったのか分からなかったけど、ただ言える事は……」
「源が言ってた言葉だわ……。今度は、信じて救える人間になりたいって……」
「はい。ただ、お母さんが自由に、幸せになってくれるのを、心から願ってます、だから……」
ー『私が死ぬから』。
お母さんが、源先輩の亡骸にすがって言った言葉を思い出す。
そして、今もズキズキと伝わる『悲しみ』と『絶望』を感じなら、お母さんの手をとって、両手で握りしめた。
「死んじゃダメです、誰よりも……生きなくちゃ」
「っ!!」
「源先輩が望んでるんです、お母さんの幸せを」
「そんなの……源やあの人がいないのに、出来るわけないわ!!私の幸せは、家族なのよっ……ううっ」
泣き崩れるお母さんを、私は抱き締めた。
どうか、どうか2人の分も生きてほしい。
なのに、なんて言えばいいのか、全然分からない。
どれも、気休めにもならない気がしてしまう。


