源先輩に向かって叫ぶ私は、泣いていたんだと思う。
記憶に触れる度に涙が溢れるのを、とめられない。
これは、この記憶に関わる人達の痛みだ。
髪を金髪に染めた先輩は、身支度を整えて、鞄を片手に玄関で靴を履き替えた。
『源、その髪は………』
すると、慌てて駆け寄ってきたお母さんが、源先輩の髪色を見て驚いていた。
源先輩の黒髪は、まるで透けるような金髪に変わっていたからだ。
『お袋、今までありがとう』
振り返った源先輩は、儚くそして美しい彫刻のような笑みを浮かべた。
『源……?』
『それから、悲しませてばかりで、ごめん』
それは、まるで別れの言葉のよう。
ううん、これは別れの言葉だった。
源先輩はきっと、この後に……自殺したんだ。


