「私をここに繋ぎ止めてくれる、この手で私を守ってください、蒼大先輩……」
「静月……悪い、情けないとこ見せて。あぁ、そうだ、そうだったな……。静月の事、引き留めるのは、俺の役目だった」
蒼大先輩は強く私の手を握り返す。
それにホッとして、私は部屋の床に手をついて、蒼大先輩に笑顔を向ける。
「行ってきます、蒼大先輩」
今日で記憶を見るのは2回目。
体の疲れは尋常じゃないけど、今踏ん張らなきゃ。
だって、今までこんなに何かに必死になった事なんてなかったんだ、きっとこの時の為に……。
「必ず、帰ってこいよ、いや……俺がいるから、安心して行ってこい静月」
蒼大先輩の笑顔に背中を押されるように、私は記憶に触れる事に集中する。
そして、音が消えていき、世界がセピア色に変わる。
繋がれていた蒼大先輩の手の感触が消えて、代わりに目の前には、源先輩がいた。


