「静月……もっと、俺に頼れ。辛いなら、抱き締めるから」
「蒼大先輩……っ」
たまらず蒼大先輩に抱きつくと、私以上の強さで、抱き締めてくれた。
蒼大先輩の体温と、流れてくる私を気遣う気持ちに、心が少しずつ落ち着いてくる。
「蒼大先輩……実は、源先輩のお母さんと前に会った事があるんです……」
「源のお袋さんに??」
「はい……。前、横断歩道で動けなくなったのは、源先輩のお母さんとすれ違った時に、感情が……流れてきたからなんです」
「動けなくなる程の感情って……」
思い出せるのは、『痛み』。
心臓を貫く程の、痛み、前が見えないほど暗い『絶望』。
「まず、私が今見た記憶を、話しますね」
「記憶……そうか、さっきは記憶を見てたんだな。だから、泣いて……。辛い思いをさせたな、悪い…聞かせてくれるか?」
「はい、もちろんです」
そう言って、私は先程見た記憶を蒼大先輩に話した。
すると、蒼大先輩は苦しげに胸を押さえる。
全て話し終えると、蒼大先輩は泣きそうな顔で、「そうか」とただそれだけ呟いた。
今、蒼大先輩も同じ痛みを感じてる。
何を言うとかじゃない、ただただ胸が痛くて苦しいんだ…。


