ーバリンッ、ガチャンッ!!
何の……音だろう。
何かが割れる音、何かが床にぶつかる音が聞こえる。
『や、やめてください、あなた!!』
『もう止めろよ、親父!!』
悲鳴に近い声に、意識が一気に浮上すると、私はゆっくりと、重い瞼を持ち上げた。
すると、視界いっぱいに広がるセピア色の世界。
そして、倒れている先ほどの女の人を庇うように立つ、源先輩と、お酒の瓶を振り上げる男の人の姿がそこにはあった。
これは……記憶!?
私は、どうやらあの女の人の記憶に触れてしまったらしい。
『源、お前も俺に逆らうつもりかぁ!?』
『親父、正気になれよ!!お袋をこれ以上悲しませるな!!』
親父……この男の人が源先輩のお父さんで、この女の人が、源先輩のお母さん!!
『俺はなぁ、俺は社長たぞ、誰の金で生活出来てるのか、忘れたのかー!?』
『倒産したんだよ、いつまでも現実から逃げるな!!』
『う、うるせー!!』
ーバリンッ!!
お酒の瓶が、源先輩のすぐ顔の横を通り、後ろの壁にぶつかる。


