『君が覚えててくれ、その記憶の中に、君だけは…』


彼は、この学校で一番空に近い場所……屋上で、友達でも、親友でも、彼女でも、家族でも無い私にそう言った。



太陽の光が、彼を照らす。


彼は、太陽の光に透ける、金髪だった。


だからか、今にも光に溶けてしまいそうで、消えてしまいそうな、そんな錯覚を覚えた。



ーーあなたは誰なの?

ー今、どんな顔をしているの?

ーーどうして、私だったの?



澄み渡る、泣きたくなるくらいに綺麗な空。

私は何故か……泣きたくて、胸が苦しくて、息が出来ない。

人はこれを、この感情を『悲しい』というのかな。



ーーなら、どうして私はこんなに悲しいの。


まるで、別れの言葉のような……。


そんな一言を私に残した彼との、たった7、8分の会話が、私の胸に、重い何かを落としていったのだ。