「……源のお父さんの事故のことは、知ってる?」
「あぁ、それで源がイジメられてたのも、知ってる」
秋乃先輩は、ポツリと話し出した。
「そう……蒼大も知ってるんだね。そう、源は、梶くん達にイジメられてた、そして私も」
「っ……源の、彼女だからか」
「うん……」
それは、私も梶先輩の記憶の中で見た。
秋乃先輩は、酷いイジメを受けていたし、イジメを受けてる源姿を見ていたんだと思う。
それは、どれほどの痛みなんだろう。
それを思ったら、涙が溢れてしょうがない。
「私は……源が苦しんでいるのを分かっていたけど、耐えられなかった……っ」
「秋乃………っ」
「私は、あれだけ源に救われたのに、源が辛い時に、自分も辛いからって、逃げたのっ……」
誰が、秋乃先輩を責められるだろう。
秋乃先輩は辛くて、心に余裕も無かったんだ。
その身を守る事で、精一杯だった。


