「死ぬ事を考えてる暇があったら、1日1日、あいつ等の為に必死で生きろ!!」


「あいつ等の、為に……あぁ、それが俺の償いか」


すると、梶先輩の瞳に少し、意志が戻ってきたように思えた。


「最上、それから……」


梶先輩が問うように、私に視線を向けたので、「高塚 静月です」と答えた。


「最上に高塚、本当に……悪かった。お前たちの、大事な人を傷つけて、自殺にまで……っ」


梶先輩は、泣きながら、そっと体を起こす。


最上先輩はもう大丈夫だろうと思ったのか、拘束を解いた。


そして、深々と土下座をする、梶先輩。




「俺は、神様じゃないから、簡単には許せない。だけど、梶がどんな風にこれから生きてくのか、ちゃんと見届ける。あと……辛くて、また苦しくなったら、支えてやるから」


「っ……あぁ、あぁ、ありがとう、最上っ」


私たちの拗れた真実への糸がまた一つ、ほどけた。


出口の見えない迷路の中に、一筋の光が差したように、私たちはゆっくりと前に進んでる。


そうですよね、源先輩。


あの青空の向こう、源先輩の言う楽園から、私たちを見守っているであろう源先輩に、心の中で語りかけるのだった。