「離せよ!!」
ービリビリッ!!
「っ………!!」
痛いっ……怖いっ!!
それだけ、私の言っている事は、梶先輩の触れられたくない記憶なんだ。
私は、このまま話してもいいの……?
ものすごい怒りを向けられて、話すのを躊躇ってしまう。
すると、「静月!!」と、私の迷いを正す声が聞こえた、蒼大先輩だ。
「蒼大、先輩……っ」
「ずっと目を背けたままじゃ、ダメなんだよ。このままじゃ……誰も前に進めない!!」
あ……。
そうだ、目を反らしちゃいけない。
私も、目の前の記憶がとんなに辛く悲しいモノでも、受け止めなきゃ。
それが、記憶を見た私の、責任の果たし方だと思う。
ー迷うな、向き合え。
そう、蒼大先輩に気づかされた。
私は、意を決して前を見据えた。
そして、ゆっくりと梶先輩に歩み寄る。


