「なぁ、静月、源の話をすると……アイツも秋乃も、思い出したくないなんて言うだろ……」
繋いだ手が震えている事に気づいた。
「蒼大先輩……」
「俺たち、このまま進んでいいんだよな……?」
「っ………」
そうだよね、私たちが探し求めるモノは……誰かを不幸にしてしまうのかな。
そう思うと、先に進むのが怖くなる。
でも、梶先輩も、秋乃先輩も……その過去に今だ捕らわれて、前に進めてない。
ーこのままでいいの?
真実を知らずに、自分をだまし続けて生きていくの。
ーそんなの……間違ってる。
その過去が辛いモノだとしても、乗り越えなければ始まらない。
「……それでも、前に進まなきゃいけないんだと、思います」
「静月……」
「あの、梶先輩も……何かを後悔しているみたいでした」
「梶が……?」
私は、記憶で見た梶の言葉を伝える。
すると、蒼大先輩は俯いて、唇を噛んだ。
ーズキンッ、ズキンッ
蒼大先輩から、『憎しみ』『悲しみ』が折り交ざった感情を感じる。


