「そんな……偶然?」
私は、スカートのポケットから、彼から渡された銀のイヤーカフを取り出して、手のひらに乗せる。
『君が覚えててくれ、その記憶の中に、君だけは…』
なんとなく、肌身離さず持ち歩いていた。
私の記憶の中に、あなたはいる。
なぜだか知らないけど、ドカッと居座り、嫌でも目に入ってしまう。
迷子が、親を探すような、そんな不安にかられて、あなたを探してしまうのは、どうしてなのだろう。
「ねぇ、あなたが見ていたのは、何だったの」
私も、ここで空を見上げていたら分かるのかな?
私は、彼が立っていた場所に立って、また空を見上げる。
彼と同じ景色を見たら、何か分かる気がしたから…。


