「やっぱり、秋乃にちゃんと話を聞こうと思う。秋乃が苦しんでるなら、源の大切な人だ、助けてやりたい」


「蒼大先輩……はい、一緒に行きます」


「ありがとな、静月」


蒼大先輩が決めた事なら、私は全力で力になる。


その手を、強く握り返すと、蒼大先輩もそれに応えるように握ってくれた。


住宅街の間をぬって、いつもの近道で学校へと向かう。

すると、ドクンッと嫌な感じがした。


「っ………」


「静月、どうかしたのか?」


繋いでいない方の手で胸を抑える私を、蒼大先輩が心配そうな顔で私の顔をのぞきこんでくる。


「だ、大丈……」

「誰かと思えば、まーたお前か、化け物」

「っ!!」


すると、聞き覚えのある声が聞こえて、私は体を震わせる。

振り返ると、赤茶色の髪をワックスで立てた、暗い瞳の男の子がいた。