記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


「はい、ありがとうございます」


蒼大先輩の返事を聞きながら、私はそっとその場を離れた。


「良かったわね、静月」


そんな私に、おばあちゃんが気づいていたなんて、知らずに。


すっかり暗くなって、私は家の前で蒼大先輩を見送る。


「遅くなってすみません、帰り、気を付けて下さい」


「俺は男だから大丈夫、それより静月がちゃんと家に入るのを見届けてから行くよ」


見送りに来たはずが、逆に見送られるという不思議な状況に、私は苦笑いを浮かべた。


「蒼大先輩、今日はありがとうございました」


それは、ただ家に来てくれたとかではなくて、台所で聞いた私への優しい言葉も含めて。


感謝の気持ちで、いっぱいだった。