ーグツグツッ
夕飯は、3人いるからと、すき焼きになった。
カチャカチャと茶碗の中で卵をといていると、「上手いっす!」と目の前ですき焼きを食べる蒼大先輩を見つめた。
な、なんというか……蒼大先輩が家でご飯食べてるなんて、不思議な感じ。
「おかわりもあるからね、たんとお食べ」
「ありがとうございます!」
おばあちゃんの言葉に、蒼大先輩が嬉しそうに笑う。
「ふふっ」
あぁ、賑やかだなぁ……。
おばあちゃんと2人きりだったから、それがなんだか嬉しい。
「俺、母さんが女でひとつで育ててくれたので、帰ってくるのも遅いんです」
「そうだったんだねぇ、寂しかったかい?」
「そう思った時もありますけど、今は感謝してます。だから、卒業したら、楽させてやれるように、一人前の男になりたいなーなんて、考えてます」
蒼大先輩……。
お父さんが亡くなってるのは知ってたけど、まさかそんな風に考えてたなんて……。


