「ノラ、蒼大先輩は大丈夫……」
ー安心して、ノラ。
蒼大先輩は、優しい人なんだ、私を希望だって言ってくれた。
人を傷つけたりする人じゃない。
「ニャア」
ノラが、私をジッと見上げてくる。
動物は、私たちと言葉を交わせない分、感情に敏感だったりする。
だから、ちゃんと語りかけてあげれば、分かってくれる。
「大丈夫……」
「ニャア」
すると、ノラは私から離れて、蒼大先輩の手にすり寄った。
そんなノラを見つめて、蒼大先輩は目を見開く。
「静月は……本当すごいな」
「??」
「動物と会話出来んのか??」
目をキラキラさせる蒼大先輩は、いつもの兄っぽい感じとは違って、子供のようだ。
そんな先輩を、可愛いなんて思ってしまった。


